「パリで治安が悪い区はどこ?」「ホテルを取らない方がいい場所はある?」
パリ旅行を計画するとき、こうした治安情報が気になる人は多いでしょう。

インターネット上では「○区は危険」といった情報もよく見かけますが、実際には同じ区の中でも、通りや駅によって雰囲気はかなり違います。また、「犯罪率が高い区=旅行者にとって最も危険」とも限りません。
そこで今回は、フランス内務省の統計部門SSMSIが公表した2025年の警察・国家憲兵隊による犯罪統計と、パリ市・パリ警視庁などが作成した各区の治安対策資料をもとに、旅行者が特に注意しておきたい場所を検証します。
SSMSIの2025年統計には、パリ1〜20区がそれぞれ個別の地域として収録されています。
※なお、ここでいう犯罪件数とは警察・国家憲兵隊が把握した件数であり、実際に発生したすべての犯罪を意味するものではありません。Ministère de l’Intérieur
旅行者が特に注意したいのは10区・18区・19区の一部


最初にポイントをまとめると、旅行者の視点から特に意識しておきたいのは次のエリアです。
| 区 | 特に注意したいエリア | 主に注意したいこと |
|---|---|---|
| 10区 | Gare du Nord、Gare de l’Est周辺 | スリ、置き引き、強盗、夜間 |
| Château d’Eau〜Strasbourg-Saint-Denis | 路上トラブル、夜間 | |
| 18区 | Barbès-Rochechouart | スリ、路上販売、混雑 |
| Château Rouge〜Goutte d’Or | スリ、路上トラブル | |
| La Chapelle〜Marx Dormoy | 夜間、路上トラブル | |
| Porte de Clignancourt周辺 | スリ、路上販売 | |
| 19区 | Stalingrad〜Riquet | 夜間、薬物関連、路上トラブル |
| Porte d’Aubervilliers周辺 | 夜間は特に注意 | |
| 観光地 | Montmartre・Sacré-Cœur | スリ、署名詐欺、賭博・客引き |
ただし、これは「その場所を歩いてはいけない」という意味ではありません。昼間は多くの地元住民や観光客が普通に利用しています。
問題は、場所と時間帯によってリスクが変わることです。
2025年の犯罪件数を比較するとどうなる?


まず10区・18区・19区について、旅行者にも関係しやすい犯罪を比較してみましょう。
SSMSIの2025年データを整理したDataFranceによると、次のようになっています。
| 2025年 | 10区 | 18区 | 19区 |
|---|---|---|---|
| 非暴力窃盗 | 7,698件 | 9,351件 | 6,942件 |
| 武器を使わない暴力的窃盗 | 813件 | 1,176件 | 697件 |
| 家庭外での身体的暴力 | 1,142件 | 1,020件 | 1,087件 |
| 麻薬取引 | 428件 | 1,277件 | 686件 |
| 住宅侵入窃盗 | 217件 | 730件 | 549件 |
18区では、非暴力窃盗が9,351件、武器を使わない暴力的窃盗が1,176件、麻薬取引が1,277件記録されており、この3区の中では複数の項目で件数が最も多くなっています。
10区では非暴力窃盗7,698件に加えて、家庭外での身体的暴力が1,142件、武器を使わない暴力的窃盗が813件でした。
19区でも非暴力窃盗6,942件、家庭外での身体的暴力1,087件、武器を使わない暴力的窃盗697件が記録されています。
ただし、ここで重要なのが単純な数字だけで区を「危険」と判断しないことです。



特に10区にはGare du Nord(北駅)とGare de l’Est(東駅)があります。住民以外の通勤者・旅行者が大量に行き交うため、居住人口を分母にした犯罪率はどうしても高くなります。
10区:北駅・東駅周辺は荷物に特に注意


Gare du Nord(北駅)周辺
旅行者が最も気を付けたい場所の一つがGare du Nord周辺です。
北駅にはEurostarや国際列車、RER、地下鉄などが集中しています。10区の治安対策計画でも、北駅と東駅はパリ最大級の交通結節点であり、その大きな人の流れが治安上の特徴の一つとして挙げられています。
旅行者にとって一番現実的なリスクは、
スリ・置き引き・スマートフォンの盗難
です。
特に、
- 駅の券売機
- エスカレーター
- メトロへの乗り換え
- 駅前で地図やスマホを見ているとき
- キャリーケースを持っているとき
は注意してください。



10区の現行の治安計画でも、北駅・東駅周辺などは薬物問題を含め、警察が特に注意している地域として記載されています。
北駅を使う=危険というわけではない
ここは誤解されやすいポイントです。
Gare du Nordは巨大ターミナルなので、駅を利用すること自体を避ける必要はありません。
ただ、初めてパリに来る人が「安かったから」という理由だけで、駅裏の人通りの少ない通りにホテルを取る場合は、周辺環境を事前に確認した方が安心です。
Château d’Eau〜Strasbourg-Saint-Denis
10区でホテルを探す場合、もう一つ確認しておきたいのがChâteau d’Eau周辺です。
パリ市と警察による10区の治安診断では、Château d’Eau/Strasbourg地区が、公道上の秩序をめぐる問題が確認されている地域として具体的に挙げられています。
一方、Strasbourg-Saint-Denis周辺はレストランやバーが多く、若いパリジャンにも人気があります。
つまり、
「この駅だから危険」ではなく、数百メートル移動するだけでも雰囲気が変わる
という、パリらしいエリアです。
18区:区全体ではなく「場所」で考える
18区は、日本の旅行サイトで「治安が悪い区」と一括りにされることがあります。
しかし、これはかなり乱暴です。
18区には、
Montmartre、Abbesses、Jules Joffrin、Barbès、Goutte d’Or、La Chapelle
など、性格が全く異なるエリアが含まれています。
公的資料でも18区内部には大きな地域差があることが示されています。
Barbès-Rochechouart
特に注意したいのがBarbès-Rochechouart駅周辺です。
パリ市の現行の18区治安計画では、
- Barbès
- Goutte d’Or
- Château Rouge
- La Chapelle
- Marx Dormoy
などで路上販売や公共空間をめぐる問題が確認されています。
Barbèsは非常に人通りが多く、多文化的で活気のある街です。
昼間に歩くこと自体を恐れる必要はありません。



ただし人混みが多いので、旅行者はスマートフォンや財布を外から見えるポケットに入れないようにしましょう。
Château Rouge・Goutte d’Or
Barbèsから北側に広がるのがGoutte d’Or(グット・ドール)とChâteau Rougeです。
パリ警視庁などが参加して作成した18区の治安診断でも、この地域では薬物取引や路上での問題などが治安対策の対象になっています。
ただし、Goutte d’Orも「入ってはいけない地域」ではありません。
アフリカ系の食材店やレストランが集まる非常に特徴的な地区で、日中は多くの買い物客でにぎわっています。
旅行者としては、夜遅くに土地勘のない状態で裏道を歩き回るのを避ける程度に考えるのが現実的でしょう。
La Chapelle〜Marx Dormoy
18区で特に夜間に注意したいのが、
La Chapelle → Marx Dormoy
周辺です。
現行の18区治安計画でも、Place de la Chapelle/Marx Dormoyは路上販売などへの対策地区として具体的に記載されています。またPlace de la Chapelleは警察による重点的な対策地域にも指定されています。
ホテル料金が中心部より安い物件もありますが、初めてのパリ旅行、女性一人旅、子ども連れの場合は、ホテルの住所をGoogle Mapsなどで確認してから予約することをおすすめします。
Porte de Clignancourt周辺
有名なSaint-Ouenの蚤の市へ行くときに利用する人が多いのがPorte de Clignancourtです。
ここでも、公的資料では蚤の市周辺で路上販売が問題になっていることが指摘されています。
観光そのものを避ける必要はありませんが、
メトロを降りて蚤の市へ向かう途中は、バッグを体の前に持つ
など基本的なスリ対策をしておきましょう。
「モンマルトル=安全」とも限らない
18区で少し特殊なのがMontmartre(モンマルトル)です。
Barbèsなどとは違い、ここで旅行者が注意したいのは主に観光客を狙った犯罪や詐欺です。
18区の治安診断でも、Montmartreでは観光客を対象にした路上販売、客引き、スリ、路上賭博などが問題として挙げられています。
特にSacré-Cœur周辺では、
- 無理にミサンガを巻こうとする
- 署名を求める
- 路上賭博に誘う
- 「写真を撮ってあげる」と近付く
といった場面では警戒しましょう。
つまり、高級住宅地・観光地だからスリが少ないとは限らないということです。
19区:特にStalingrad〜Riquet周辺


19区で最も名前が挙がるのが、
Stalingrad〜Riquet
です。
パリ市は19区でStalingrad地区を夜間の重点的な巡回・仲介活動の対象としており、治安対策ではStalingrad/Flandre/Tangerなどを対象に、薬物問題や暴力的窃盗、公共空間のトラブルへの対策を行ってきました。
さらに2025年末のパリ市議会でも、Stalingrad-Riquetが19区の主要な治安課題の一つとして取り上げられています。
特に夜遅く一人で歩く場合には注意した方がよいでしょう。
でもBassin de la Villetteは避けるべき?
ここが難しいところです。
Stalingradから少し北東へ進むと、Bassin de la Villetteがあります。
運河沿いには映画館、カフェ、レストランがあり、夏になると多くの人でにぎわいます。
つまり、
「19区だから避ける」「Stalingrad駅だから行かない」という判断は適切ではありません。
同じ駅でも、
- 時間帯
- 大通りか裏通りか
- 人通り
- 周囲の店舗が営業しているか
によって状況が大きく違います。
Porte d’Aubervilliers周辺
パリ北東端にあるPorte d’Aubervilliers周辺も、土地勘のない旅行者なら夜間は慎重に行動したい場所です。
2025年のパリ市議会の治安に関する議論でも、Stalingrad-RiquetとともにPorte d’Aubervilliers周辺の問題が取り上げられています。
観光客が夜にわざわざ散策するような場所ではないので、宿泊する場合には最寄り駅からホテルまでのルートを確認しておくと安心です。
「1区の犯罪率が高い=1区が一番危険」ではない


犯罪統計を見ると意外なことがあります。
ルーヴル美術館などがあるパリ1区の犯罪率が非常に高く表示されることがあります。
これは1区の居住人口が少ない一方、
- 観光客
- 買い物客
- 通勤者
が大量に訪れるためです。
犯罪件数を「住民1000人当たり」に換算すると、数字が極端に大きくなる場合があります。
SSMSIの犯罪統計を読む際には、こうした昼間人口や観光客数の影響を考慮する必要があります。DataFranceも、観光客・労働者など住民以外の人口によって人口当たりの数値が影響を受けると注意しています。
そのため、
「犯罪率ランキング1位=旅行者にとって最も危険な区」
と単純には言えません。
パリでホテルを選ぶなら「区」より「最寄り駅」を見る


パリのホテル選びでは、
「何区か」よりも「どの駅の、どちら側にあるのか」
を見る方が役立ちます。
例えば同じ18区でも、
Abbesses周辺とLa Chapelle周辺では街の雰囲気がかなり違います。
同じ19区でも、Buttes-Chaumont周辺とStalingrad周辺を一括りにするのは適切ではありません。
ホテルを予約するときは、次の3点を確認してみてください。
- 最寄り駅からホテルまでの道
- 夜でも人通りのある大通りを歩けるか
- 最近の宿泊者レビューに「夜の周辺環境」について書かれていないか
女性一人旅や子ども連れなら、ホテル代が10〜20ユーロほど安いという理由だけで、駅から遠い場所を選ばない方がよい場合もあります。


パリ旅行で最も多いリスクは「怖い地区に迷い込むこと」ではない


最後に覚えておきたいのは、旅行者が遭いやすい犯罪の多くは、いわゆる「危険地区」だけで起きるわけではないことです。
2025年にフランスの公共交通機関で警察などが記録した窃盗・暴力・詐欺等の被害者は約10万5,000人。そのうち77%を非暴力窃盗が占めています。
つまり、旅行者にとっては、
「危険な地区を全部避けること」より、メトロや駅、観光地でスリ対策をすることの方が重要
です。
スマートフォンを持ったままメトロのドア付近に立たない
財布をズボンの後ろポケットに入れない
カフェでスマートフォンをテーブルの端に置かない
こうした基本的な対策だけでもリスクはかなり減らせます。
まとめ


パリで特に治安に注意したい場所としては、Gare du Nord周辺、Barbès〜Château Rouge〜Goutte d’Or、La Chapelle〜Marx Dormoy、Stalingrad〜Riquetなどが挙げられます。
ただし、10区・18区・19区全体が危険なわけではありません。
むしろ大切なのは、
「区」ではなく「駅・通り・時間帯」で判断すること。
そしてルーヴルやモンマルトルのような有名観光地でも、スリなどの被害は起こります。
必要以上に怖がる必要はありませんが、場所による違いを知ったうえで行動すれば、パリ旅行をより安心して楽しむことができます。
主なデータ元:フランス内務省SSMSIの2025年犯罪統計は、2026年に公表された最新版です。Ministère de l’Intérieur
フランス内務省:2025年地域別犯罪統計
SSMSI:2025年犯罪統計・確定版
この記事なら、SEOタイトルは 「パリで治安が悪い区はどこ?2025年犯罪統計から危険エリア・注意したい駅を検証」 がかなり強いと思います。検索語の「パリ 治安悪い 区」を自然に拾いつつ、内容自体は煽りすぎません。


